一枚の絵

第4回シンポジウム 九大伊都キャンパスにおける森と生き物の未来−大学・学生・市民の協働による里山保全を目指して− が終わったところ。
今回は、午前中から開催して、京都女子大、龍谷大学からそれぞれの大学での取り組みを報告していただいた。これに金沢大学を加え、4大学で交流を続けている。いずれの大学でも、キャンパス用地の里山や森林を活用し、市民と協働しながら、環境教育を進めている。
九大の場合には、移転による新キャンパスづくりという大きな課題がある。単なる環境教育や保全活動をこえて、大学と地域の新しいあり方を、学生・市民・行政が一緒になって模索している。
4回目の基調講演では、新たな課題として、自然再生事業をめざそうという提案をした。自然再生事業が新しい行政の枠組みであること、九大新キャンパスで、市民チームが取り組んできた課題はまさに、自然再生推進法の目的にかなっていることを説明した。
自然再生事業を開始するにあたっては、関わる主体が、自分たちのビジョンを語り合うことが大事である。
そこで、基調講演の最後で「1枚の絵からはじめよう」という話をした。
やや個人的趣味に走ったかもしれないが、「ゲド戦記」制作日誌2月11日で書かれていたエピソードを紹介した。
スタジオジブリでは、新しい映画をつくるにあたって、「1枚の絵」を描くことから始めるそうだ。制作日誌には、次のように書かれている。

この映画を象徴する、一枚の絵を描くこと──。

それは、その絵一枚で、映画の世界観を想像させるものでなければならず、映画に登場する1シーンでなければならず、いずれはポスターとして成立するようにしなければならない。

このエピソードを紹介して、「新キャンパスの保全緑地の未来、周辺の地域の未来について、それぞれに1枚の絵を思い描いてください。」という提案をして、基調講演を終えた。
その後の学生の活動報告は、とても好評だった。これについては、環境創造舎のウェブやブログで報告があるだろう。
総合討論は2時間。たっぷり時間があると思っていたが、議論が熱をおび、あったという間に終わった。京都女子大・竜谷大・金沢大からの参加者(とくに学生)に話をしてもらう時間がなくなってしまった。
これから懇親会なので、その場で彼ら・彼女らの意見・感想を聞こう。