三丁目の夕日

「Always」を見て、中洲川端で電車に乗ったところである。
西岸良平原作「三丁目の夕日」の世界は、ほのぼのとした独特の画風で描かれている。あの世界が映画になったと聞いても、なかなか見に行く決心がつかなかった。いくら吉岡秀隆が出ていようが、薬師丸ひろ子がお母さん役を好演しているといわれようが、原作のイメージが壊れそうで、不安だった。
しかし、それは杞憂だった。原作の暖かさをしっかりと受け継いで、見事な映画に仕上がっていた。日本映画にまたひとつ、名作が生まれたと思う。
睡眠不足と疲労がたまってきたので、思い切って気分転換に出かけたが、おかげで元気になれた。
「Always」というタイトルは、「夕日」はいつも、5年後も10年後も、50年後も変わらずに美しいというメッセージだ。エンディングで、一平が両親にそう語りかける。「夕日」が何を意味するかは、映画を見れば誰もがわかる単純な真実である。単純な真実を、平凡な日常を通じて描くという手法は、「寅さん」以来の日本映画のお家芸だ。もっとも、「夕日」を通じて何を見るかは、一人ひとり違っているかもしれない。
さて、映画で描かれた世界からほぼ50年後の今日、「夕日」は一平の言葉どおり、変わらずに美しいだろうか。50年の歳月を通じて、変わらないはずはない。しかし、「夕日」はいつの時代も変わらないものの象徴でもある
私は、私が愛する日本の自然を、いつまでも変わらないように残していきたい。それが私にとっての「夕日」の意味である。

・ ・・と、書いてから、一晩が経った。また、地下鉄の中。
「六ちゃん」は、「安藤奈津」役をやらせたら、ぴったりかもしれない。「安藤奈津」の物語はまだはじまったばかりだが、結構期待している。
なに、「安藤奈津」を知らない? 「あんどーなつ」のヒロインですよ。このタイトル・ヒロインのネーミングは、もちろん私の趣味です。