ミゾコウジュ移植地調査

今日は、ミゾコウジュを移植した池の周囲に、モニタリング用の調査定点を設定し、1回目の植生調査を始めた。まず池の水際線に沿って、数m間隔で杭を打ち、この杭から放射状に常設トランセクト(細長い調査エリア)を設定した。トランセクトの幅は1m。長さは、斜面の距離に応じて変えた。調査区は、1m×1m単位。20mのトランセクトなら、20地点の調査区となる。
1回目の植生調査では、各調査区の種をリストするだけにとどめた。次回(5月の予定)からは、被度などの量的な評価も行なう計画である。昨秋に造成されたばかりの斜面なので、芽生えや小型のロゼットが多い。今年1年で、植生回復が進み、種の組成は大きく変化するだろう。
調査を始めてみると、昨日書いた印象は、必ずしも正しくないことがわかった。オオクサキビはむしろ少なく、ヌカキビが多い。枯れている状態なので、大型のオオクサキビの印象が強かったようだ。また、アゼナルコの幼植物は、かなり広い環境に出現している。印象は、あてにならないものだ。
池には、ニホンアカガエルの卵塊が随所に見られ、「市民の手による生物調査」チームが卵塊を数えるためにたてた竹串が林立している。今度の日曜日は、「市民の手による生物調査」の調査日だ。調査に際しては、池の周囲を人が歩く。このような撹乱は、度が過ぎなければ、植物の多様性維持に役立つはずである。撹乱がなければ、草丈の高い、競争的な種が優先してしまう。
春〜夏にも、トンボや水生昆虫が観察できるように、観察ルートを設定するのが良いと思う。ときどき人が通ることで、適度な撹乱が生じるからである。
3つの池がつくられた「草地・湿地ゾーン」は、約1ヘクタールの面積がある。草地・湿地の植生動態を調査するには、十分な面積である。一方で、イシガメやカワセミなど、さまざまな動物もやってくる。市民や学生と一緒に生物を調査し、それが新しい発見に結びついていく場所にしたいと思う。