わかりやすい文章の書き方

今日は、Aさんの論文改訂を中断して、Sさんの論文を改訂する作業にとりかかった。こちらは今回の改訂で投稿できる見通しである。
論文原稿を改訂する作業をしながら、論文の文章の書き方について、できるだけ一般化しようと試みている。
論文の書き方については、多くの本が書かれている。しかし、私がなるほどと納得できる本にはなかなか出会わない。たとえば、「論理的に書くとはどういうことか?」という基本的な問題についてわかりやすく解説した本は少ない。
論理には帰納法演繹法アブダクションの3つがある。論理的に書くということは、これらのいずれかの方法に従って、文章を書いていくということである。この点についてきちんと解説した本はほとんどない。
アブダクションという考え方については、なじみのない人が多いだろう。この考え方は科学的研究においてとても重要だが、幸い文章を書く場合には、アブダクションを用いることはまずない。したがって、帰納法演繹法の使い方に習熟することが、論理的文章を書く技術の基本だと思う。
そこで、帰納法演繹法の使い方について書いてみようと思う。

以上は、帰宅途上で電車の中で書いた文章である。これを、出勤中の電車の中で改訂してみた。

昨日は、Aさんの論文改訂を中断して、Sさんの論文を改訂する作業にとりかかった。論文原稿を改訂する作業をしながら、論文の文章の書き方について、できるだけ一般化しようと試みている。
論文の書き方については、すでに多くの本が書かれている。しかし、「論理的に書くとはどういうことか?」という基本問題についてわかりやすく解説した本は少ない。
論理的文章を書く技術の基本は、帰納法演繹法のいずれかの方法に従うことである。論文の書き方のテキストでは、まず帰納法演繹法の使い方についてわかりやすく解説すべきである。次に、帰納法演繹法の使い方について書いてみよう。
なお、論理形式には帰納法演繹法以外に、アブダクション(不明推測法)がある。しかし、文章を書く場合には、アブダクションを用いることはないので、ここでは省略する。

わかりやすい文章の書き方(続)

2つの文章を比べてみれば、後者の方がわかりやすいはずだ。なぜか?

  • 第一に、後者では論理の流れが切れていない。
  • 第二に、後者の方が簡潔である。

この2つのポイントは、密接に関連している。この関連について、簡単な例で考えてみよう。以下の2つの文章のどちらがわかりやすいだろうか。

  • AはBである。BはCである。したがって、AはCである。
  • AはBである。ちなみに、XはYである。それはさておき、BはCである。したがって、AはCである。

前者のほうが断然わかりやすい。その理由は、論理の流れが切れていないからである。論理の流れの間に、結論に関係のない文章がはさまると、わかりにくくなる。
したがって、わかりやすい文章を書くためには、論理の流れを切らないことが重要である。
では、論理の流れを切らずに書くにはどうすれば良いか? 実は、この方法はおどろくほど簡単である。以下の原則を守れば良い。

  • 後の文章では、前の文章の主部または述部に必ず言及する。

つまり、以下の形式のいずれかを採用する。

  • AはBである。BはCである。(述部と主部が共通)
  • AはBである。AはCである。(主部が共通)
  • AはBである。CはBである。(述部が共通)

しかし、最初からこれらの形式に従って書くのは、簡単ではない。なぜなら、私たちは日常会話において、このような形式を守っていないからである。日常会話なら、このような形式を守らなくても、多くの場合円滑な意思疎通ができる。なぜなら、知人どうしの間では、円滑な意思疎通を可能にするだけの知識を互いに共有しているからである。
しかし、知人だけでなく、不特定多数の読者に向かって文章を書く場合には、上記の形式を守ってわかりやすい文章を書く必要がある。
わかりやすい文章を書くには、いちど書いたうえで、文章が上記の形式を守っているかどうかをチェックすれば良い。そして、論理の流れにとって余分な部分を削れば良い。
余分な部分を削れば、必然的に簡潔な文章になる。簡潔な文章ほどわかりやすいのは、情報量が少ないだけでなく、情報が論理的に順序づけられているからである。