ケサギゴケ

ムラサキサギゴケは路傍や畦道などに普通の植物だが、本「種」には生態的に異なるいくつかの系統が含まれているようだ。下の写真の植物はそのひとつであり、宮崎県のMさんは「ケサギゴケ」と呼ばれている。九州では水田の畦に多い型である。花茎に白い開出毛が密生し、花はムラサキサギゴケの典型品よりひとまわり大きい。


典型品の写真(たとえば、http://azami.sakura.ne.jp/yasou/v/murasakisagigoke-04.jpg)と比較していただければ、違いがわかっていただけるだろう。
毛が多い点では、ヤマサギゴケhttp://plantdb.ipc.miyakyo-u.ac.jp/php/view.php?plant_id=6838&data_id=44264)に似ている。しかし、ヤマサギゴケはその名のとおり山地に生え、毛は腺毛である。また、f. rotundifoliusと名づけられているように、葉がよりまるい形をしている。
サギゴケやヤマサギゴケは、生態的にも形態的にも典型品からかなり明瞭に分化しており、少なくとも変種ランクで区別できるように思う。このように、ごく身近な植物ですら、分化の実態はわかっていないことが多い。