「平原綾香」記事レビュー

考えてみれば、平原綾香さんは、このブログに登場するほぼ唯一の女性歌手である。
最初に彼女について書いたのは、このブログを書き始めてすぐの2005年1月10日(id:yahara:20050110)。「JUPITERと竜王」というタイトルで次のような記事を書いた。

「NHKニュースおはよう日本・祝日特集『二十歳の挑戦』」に、平原綾香渡辺明が登場した。なかなか良い人選じゃないか。この2人の将来は、楽しみだ。一過性ではなく、長く活躍できる実力がある。音楽一家に育った平原は、素質・経験値ともに、群を抜いていると思う。小学校4年生のときから闘い続けてきた渡辺は、作戦が失敗してもたてなおす実戦力で、7局目にまで及んだ決戦を制した。新しい才能は、確実に育っている。「最近の若いものは・・・」なんて言う「大人」は、笑い飛ばそう。

次の記事は2005年7月18日(id:yahara:20050718)。「Songs on the sky」と題して、ウィーンに向かう機内で書いた記事である。あの「Jupiter」の日本語の歌詞と、「Jupiter」の英語版である「The Voice」の歌詞を比べた感想を次のように綴った。

道に迷い、天使の助けが欲しいときでも、自分を信じて前に進め。”The Voice”の歌詞は、そう呼びかける。

世界ほど重くはなくても、誰しも、何かしらの重荷を肩に乗せて生きているだろう。そして、その重荷を耐えがたく感じるときがあるものだ。そんなとき、平原綾香の歌声は、日本語では「ひとりじゃない」と語りかけ、英語では“Just trust the voice in you”と訴えかける。

単なる対訳ではない、2つの歌詞を用意したのは、いったい誰のアイデアなのだろう。いずれも「人生の真実」を含んでいて、状況によって聞きたい歌詞が変わる。実に心憎い演出だと思う。

・・・若いころは、何でも思いどおりになると過信していた。しかし、最近、出口の見えない難問に直面するようになった。誰にも明かせない決意を胸に秘めなければならないこともある。そんなときは、the voice in meを信じて、先に進む以外ない。それでもくじけそうになったときには、”Jupiter”を聞いて、「ひとりじゃない」と思うことにしよう。

3回目は、2005年8月21日(id:yahara:20050821)。「妖怪大戦争」&「夏子の酒」、という記事の中で、ハローアゲイン、JoJo』にふれている。

子供にしか見えない「妖怪」と言えば、JoJoを思い出す。NHKみんなのうた』で平原綾香が歌った、『ハローアゲイン、JoJo』に登場する、かわいらしいドラゴンである。この歌の歌詞は、JoJoの伝説があることだけを語っていて、とても不思議な世界を作り出している。聞いた人、ひとりひとりが、自分の想像力をはたらかせて、物語を思い描いてみることができる。これこそ、ファンタジーだ。

4回目は2005年11月6日に、ダラス空港でアップロードした記事(id:yahara:20051106)。機内で見た「四日間の奇蹟」の感想の中で、エンディングの歌についても短い感想を書いている。

51歳にもなると、大学生のころのように、ナイーブな感動は味わえないが、自分の人生に重ねた思いというものも、あるものだと感じる。思えば多くの友人を失った。自分がまだ生きて、残された時間を持っていることへの、ある種の非条理な思いが、頭のどこかに常にある。あるいはまた、いまこの飛行機が落ちて、命を落とすかもしれないという思いが、時折、脳裏をかすめる。そういう過酷な運命に直面した友人もいた。残された者として、時間を無駄にしたくはない。

・・・などと言えば、少し、体裁をつくろいすぎているかもしれない。映画とワインの相乗効果で、やや饒舌になってしまったようだ。

映画のエンディングには、平原綾香の歌声が流れた。この映画には、この人のこの声以外にないと思うのは、ちょっと贔屓が過ぎるかな。

5回目は、昨年のおおみそかid:yahara:20081231)。「日本のうた」と題した紅白の感想の中で、次のように書いた。

紅白は今年も白組の圧勝。私見では、社会が暗いと白組が勝つ。女性歌手の歌には、個人的な気持ちを歌った愛の歌が多いように思う。この手の歌は、好き嫌いが分かれるようだ。それに比べ、男性歌手の歌には、より社会的な歌が多い。愛の歌を歌うときでも、相手を思って歌う。だから、より多くの支持を集めるようだ。とくに社会に閉塞感がただよっているときは、内向きの個人的な歌よりも、より外向きの社会的な歌のほうが、共感を集めるのではないだろうか。

しかし今年の紅白に関しては、白組の歌もこじんまりしたものが多かったと思う。個人的にはアンジェラ・アキの「手紙」と平原綾香の「ノクターン」がとくに印象に残った。これに「ポニョ」を加えれば、赤組の方に力があったのではないだろうか。

昨日の記事は、平原さんにふれた6回目の記事ということになる。