日本のうた

日本には、お年寄りから子供までみんなが歌える歌が少ない。おそらく数少ない例外は、「となりのトトロ」。宮崎・久石コンビの「日本のうた」への貢献は絶大だと思う。
今年は、「崖の上のポニョ」が加わった。夏に、「崖の上のポニョ」を観たとき、紅白ではきっとポニョの妹の赤い着ぐるみが群れて踊るに違いないと予想した。この予想は見事にあたった。
紅白は今年も白組の圧勝。私見では、社会が暗いと白組が勝つ。女性歌手の歌には、個人的な気持ちを歌った愛の歌が多いように思う。この手の歌は、好き嫌いが分かれるようだ。それに比べ、男性歌手の歌には、より社会的な歌が多い。愛の歌を歌うときでも、相手を思って歌う。だから、より多くの支持を集めるようだ。とくに社会に閉塞感がただよっているときは、内向きの個人的な歌よりも、より外向きの社会的な歌のほうが、共感を集めるのではないだろうか。
しかし今年の紅白に関しては、白組の歌もこじんまりしたものが多かったと思う。個人的にはアンジェラ・アキの「手紙」と平原綾香の「ノクターン」がとくに印象に残った。これに「ポニョ」を加えれば、赤組の方に力があったのではないだろうか。
例年同様、原稿を書きながら紅白歌合戦を聴いて、今年も暮れた。みなさん、良いお年を。