アンチ・トップ・ダウンと講演要旨登録のカウントダウン

日本生態学会ウェブサイトに、「新会長より」という挨拶を載せた。
基本方針を簡潔に言えば、多様性の尊重とボトムアップということである。世にはやりの「トップダウン」というやり方は、採用しない。
また、会長が替わったからといって、すぐに何かを変えるということは考えず、新常任委員、新全国委員の方々とよく相談しながら、運営を進めていきたい。
進化の研究をしていると、部分改良の積み重ねがいかに重要かを痛感させられる。大きなシステムの変更は、まずうまくいかないものだ。ところが、世の中では、大きなシステムの変更こそ改革だという迷信が蔓延している。「大綱化」「重点化」「法人化」と続いた大学のシステム改革で、何がどう良くなったのか、私にはよくわからない。大学が良くなっている側面もあるとすれば、それは、このようなシステム改革のコストにめげずに、大学構成員がこつこつと部分改良に励んできたからであり、システム改革自体の効果ではないように思う。
日本生態学会に関しては、運営は基本的にうまくいっている。だから、これまでの延長上で、部分改良の積み重ねていけば良いと思う。「公益法人化」にしても、大きくシステムを変えるのではなく、これまでの運営のやり方を法人の枠組みのなかにうまく収めていけば良いのだと思う。
もちろん、アクティビティを高めるには、新しいビジョンというものが有効である。この点については、2月6日の常任委員会で、新しいメンバーと一緒に相談したい。上記の挨拶では一点だけ、若手の職やキャリアパスの問題を提起した。
ところで、講演要旨登録のしめきりは、今日の午後5時である。5時きっかりに、ウェブサイトが自動的に閉じられる。それ以後の受付はできないので、未登録の方はできるだけ早く登録していただきたい。
4時ころになって始めると、とたんにパソコンがフリーズしてあわてたりする。それで5時のしめきりに間に合わなければ、要旨は講演要旨集に掲載されない。5時をすぎてから、なんとかならないかというお電話をいただくことは、どうかご勘弁願いたい。1300件あまりの要旨を受け付けて、要旨集を作るので、個別対応を許すシステムは、「持続可能性」に欠ける。誰かが一時期、献身的なボランティアでそれをこなしたとしても、次にその仕事を引き受けてくれる人はいないだろう。登録から要旨集をつくるまでの作業をパソコンで自動化することで、大規模大会の運営が可能になっている。
5時に登録がしめきられたあと、5時半ころには、大会ウェブサイト上で要旨集が公開される予定である。この原稿をそのまま印刷にまわすシステムができている。修正を許すと、時間もかかるが、お金もかかる。
したがって、修正は受け付けない。これが、大会企画委員で相談して決めた方針である。どうかご理解をいただきたい。
なお、私がオルガナイザーをしているシンポジウム"Phylogenetic approaches to community ecology"に関しては、すべての要旨の登録が終了した。そこで、私のウェブサイトのPhlocomページで、プログラムと要旨を公開している。