自然再生事業のレビュー

次の土曜・日曜の、「自然再生指針案」討論合宿に向けて、「自然再生事業の現状と問題点」についてのレビューを始めた。もっと早くからとりかかるはずだったが、例によって、切羽詰ってからやっと仕事にとりかかることになった。環境省国土交通省農水省の関連ページ(→矢原ウェブサイトのリンク集からたどれる)を検索し、ざっと目を通した。すでにかなり多数の事業が進行している。環境省管轄の事業だけでも、昨年3月の時点で、11箇所で自然再生事業が展開されている。各地の事業のウェブサイトを見てみたが、絶滅危惧生物を含む、フロラやフォーナについてふれたページは、皆無だった。「自然再生事業」では、「失われた自然を再生する」という理解から、「環境影響評価」という考え方は採用されないことが多い。しかし現実には、自然が残った場所で、自然「再生」事業が行なわれている例が、少なくない。釧路湿原しかり、大台ケ原しかり、である。「自然再生指針」では、ベースラインとして、「現状を科学的に把握する」という項目を追加する必要がありそうだ。「生物相(絶滅危惧種の有無など)と種の分布・植生の動態や維持機構・キーストン種の動態・侵略的外来種の状況・景観の特性(植生・地形のモザイク構造とその動態など)」などについての科学的な調査を行い、現状の正確な認識にもとづいて、事業計画を立案すること、というようなガイドラインが必要だと思う。「再生」が新たな「破壊」につながらないように、実効性のある指針を作ろう。