熱帯林樹木多様性とその保全に関する公開シンポジウム

熱帯林樹木多様性とその保全に関する公開シンポジウムを1月6日に東京国際フォーラムで開催します。この公開シンポジウムは、環境研究総合推進費によるプロジェクト「樹木の新種比率評価と森林政策評価にもとづく東南アジア熱帯林保全対策の策定」(代表 矢原徹一)のアウトリーチ活動として開催するものです。東南アジア各国における熱帯林保全のあり方を、参加者と一緒に考えたいと思います。研究者だけでなく、熱帯林にご関心をお持ちの市民や行政・企業関係者のご参加をお待ちしています。

これまでの私たちの調査によって、東南アジア熱帯林には少なくとも1000種の新種樹木が残されていることがわかってきました。ランビル国立公園、ドイインタノン国立公園などの各地の森林プロットにも多数の新種があります。その多くは熱帯林の減少によって自生地がおびやかされており、絶滅のおそれがあります。

一方で、東南アジアでの熱帯林減少には、コピー用紙、パーム油、タイヤなどの国内消費が深く関係しています。日本の消費活動に関連して、東南アジア熱帯林の危機がどのように進行しているかを広く知っていただくことが、まず重要と考えます。そのうえで、市民・企業・行政がとり得る対策について考えたいと思います。

研究者サイドでは、東南アジア各地の森林プロットにおける研究をネットワーク化し、研究成果を保全に活用できるものにしていく努力が必要と考えます。2月にバンコクで開催されるアジア太平洋地域生物多様性観測ネットワーク(APBON)の会議では、森林プロットのネットワーク化を提案したいと考えています。森林プロットネットワークに関心をお持ちの方は、ぜひご参加ください。

当日参加も可能ですが、参加を希望される方はできるだけ事前に矢原までご一報ください。よろしくお願いします。

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日 時:1月6日(土)13:00-15:40
会 場:東京国際フォーラム ガラス棟会議室G404
     (東京都千代田区丸の内)有楽町駅から徒歩1分     
     http://www.t-i-forum.co.jp/user/facilities/conference/

プログラム:

◆公開シンポジウム
「樹木の新種比率評価と森林政策評価にもとづく東南アジア熱帯林保全対策の策定」

13:00-13:05 開会、趣旨説明(代表 矢原徹一)
13:05-13:35 東南アジア熱帯林140地点における全種調査から何がわかったか?(田金秀一郎・ 九州大学理学研究院)
13:35-14:05 新種だらけの東南アジア熱帯林:どこをどうやって守れば良いか?(矢原徹一 ・ 九州大学理学研究院)
14:05-14:20 質疑応答、討論

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14:35-15:00 エコツーリズムを伴う住民参加型森林管理の有効性:カンボジアを事例として(太田徹志 ・ 九州大学持続可能な社会のための決断科学センター)
15:00-15:25 熱帯林保全対策の策定で求められる感受性:産業造林地の森林保護をめぐるレジティマシーの相克(藤原敬大 ・ 九州大学農学研究院)
15:25-16:00 質疑応答、総合討論
16:00     公開シンポジウム終了