スマトラ調査終了


スマトラ・パダン市東にあるガドゥ山での調査を終えて、今夜9時25分ジャカルタ発成田行きの夜行便で帰国します。ガドゥ山は、約30年前に京大の川村さん、堀田さんらが研究を開始され、それ以後日本人研究者によって連綿と調査が続けられてきた場所です。植物種の多様性が著しく高い場所として知られており、実際にわれわれのアジア各地のトランセクト調査において、最高水準の種多様性が確認されています。
上記の写真はその一例。クスノキ属のよく似た4種のスライドを並べてみました。この4種に似た種があと1種あり、これはCinnamomum inersのタイプ標本によく一致します。スライドの4種はCinnamomum inersとよく似ていますが、脈理(葉脈の走り方)が違います。アンダラス大学の標本庫で調べた結果、花や花序にも違いがあるので、すべて別種でしょう。しかしよく似ているので、どれもCinnamomum inersに同定されています。4種のうち少なくともいくつかは新種だろうと思います。このように、過去30年間調査が続けられてきた森林プロットでも、種の同定に多くの問題があります。ガドゥ山の植物相がある程度わかったと言えるまでには、あと数回は調査をして、同定作業にも相応の時間を費やす必要があるでしょう。