緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)によるスピーディでない計算結果

緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による放射性物質拡散シミュレーションの結果がようやく公表された。

しかし、地図1枚だけ。もっといろいろな計算をしているはずなので、計算結果はすべて公表してほしい。いまは、さまざまな専門家が公表データを分析してネットで解説している。また、マスコミの報道も冷静になっている。この状況で計算結果をすべて公表しても、大きなパニックにはならないと思う。日本人の冷静かつ協同的な行動は、世界から賞賛されている。
公表すれば、多くの専門家の評価によって、より冷静で正確な判断が可能になる。公表しないと、行政がデータを隠した、ということになる。
公表された一枚の地図によれば、炉心から40km程度の場所でも、1歳児の甲状腺の体内被曝が100ミリシーベルトに達するリスクがある。これは「連続して一日中屋外で過ごす」という条件で計算された結果であり、風向きは常に変化する。したがって、冷静になる必要があるが、子育てをされているお母さんにとっては、心配な結果だ。炉心から少なくとも40kmの範囲で、子供をもつ家庭に避難を勧めるほうが良いのではないか。少なくとも、この範囲の地域で暮らす方は、子供を屋外にできるだけ出さないほうが良い。ということは、学校を休校にしたほうが良いということになる。
私はいたずらに不安をあおるべきではないという考えだが、顕在化したリスクに対しては迅速かつ的確に、予防原則にもとづく対応をとるべきだと考える。
なお、先日の日本学術会議緊急集会で、以下のやりとりがあったことをメモしておく。時期が来たら公表しようと思っていた。いまがその時期だろう。

田中俊一(元 原子力委員会委員):原子力機構には気象条件を考慮した放射能の空間・時間変化を計算する能力がある。住民に対して計算結果を公開する必要がある。
原子力安全技術センター長のコメント:放射能の空間・時間変化についてはセンターで計算し、原子力安全委員会に結果を出している。いつ発表するかは本部の判断だ。

参考:
上記の地図には以下のサイトからたどりついた。

放射能漏れに対する個人対策 (スウェーデン国立スペース物理研究所の山内正敏さんの解説)