ライデン訪問の成果

ライデンに訪問した3日間に、カンボジアの樹木種の同定作業を、T君と一緒に進めた。"Taxonomy of trees in permanent plots of Kampong Thom and Kampong Chhnang Provinces, Cambodia"と題する論文草稿の準備も始めた。T君には、分類学的な文献の探し方、使い方、シノニムリストの作り方などを教えた。T君はこれから1月中、ライデンに滞在して、同定作業を続ける。2月にはキュー植物園に移動し、さらに同定作業を続ける。今回の作業で、上記の論文原稿が完成する予定。この論文を発表すれば、T君は分類学者としても通用するだろう。植物分類学分野では、植物一般の同定ができて、シノニムリストを作れる若手はほぼ皆無に近い。T君には、生態学の研究に加えて、分類学分野でも活躍してほしいものだ。
ライデンではまた、オランダ国立ハーバリウムのデータベースから、世界各地のマメ科植物標本の分布データ(GPS情報つき)を抽出し、エクセルファイルとして受け取った。蝶形花亜科だけで5万件を超える巨大データベースだ。アフリカと東南アジアの地点数は申し分ない。中国・日本などの東アジアのデータが少ないが、これらは自力で補える。南米のデータがもう少しほしいので、合衆国のハーバリウムと連絡を取る予定。これで、世界マメ科観測計画の第一歩を展開できそうだ。
また、タイの植物全種に関する分布データベース(こちらはヨーロッパの主要ハーバリウムおよびタイのハーバリウムの標本データも入っている)も入手した。これらは、今年からスタートするアジアでの研究に活用する。
これらの巨大データを使って、さまざまな解析が可能になる。いろいろなアイデアが考えられるので、今後の解析が楽しみだ。