進化学会「科研費・ポスドク」ワークショップへの反響

日本進化学会大会から昨夜もどり、今日は公用車を運転して、宮崎県えびの高原に来た。今日から8日まで、生物学科の野外実習である。

進化学会2日目に開催した、「科研費ポスドク」ワークショップには、私の予想をこえてたくさんの方が参加してくださった。50人弱だったと思う。

私ひとりの報告だけで他の講演者をたてなかったのだが、たくさんの質問や意見が出て、2時間半があっという間に終わった。

何人かの方が、メールで感想や意見を送ってくださった。たとえば・・・

科研費を出すことのできる立場が最近大きく広がったことは,若手研究者にとって大変よいことだと思います.一方,私の周りには,研究費はあるが生活費がないオーバードクター,オーバーポスドクが目に付きます.(結果的に,非常勤講師などで我々の何倍もの授業をしていたりして,たいへんにもったいない.)これは,科研費などで週1日雇われれば,「研究生・研修員」と して大学に数十万円もの授業料を納めなくてよいことから,そのような方法を(周辺では限定的に)採る場合があることにも関係しています.

この事情は、私もよく承知している。何とかもう少し、PDの採用枠を増やしたいと思う。しかし、その結果、オーバーポスドク問題がより深刻になりはしないか。その疑問を払拭するには、ワークショップで紹介したような「個体群動態モデル」を使って、定量的な将来予測をしてみることが必要だ。

政策的には、将来的に研究を続けていく若手研究者の数を、どれくらいに設定するかという点をまずきちんと判断する必要があるのだと思う。それ抜きに、目先の救済策をとれば、その先にもっと悲惨な運命が待ち受けることになる。ポスドク動態モデルによる定量的な評価ができれば、もっといろいろな対策が提案可能だろう。

たとえば、特別研究員への科研費を減らせば、採択率はあげられる。そうしたほうが良いという意見は、学振POの会議でも聞いた。しかし、学振PD以外に、プロジェクト雇用のポスドクが増え、一方でポスドク1万人計画が失敗だったという評価がある中で、学振PDの採択率を増やす必要性について、説得力のある材料が見出せないでいるのが実情だと思う。

これからアンケート調査をやってデータを集め、年度内には、ポスドクの「個体群動態」について、定量的な議論ができるようにしたい。