寝る前のSchwarze Katz

Yさんに、論文の改訂版をメールで送り、シャワーをあびて、洗濯機をまわし、たまねぎを炒めて、Schwarze Katzを飲んでいるところ。
Yさんの論文は、大詰めである。結論はクリアなのだが、関連する論文の引用が不足気味だった。もう少し幅広い文脈の中で、研究の成果を位置づける必要がある。そこで、ここ1週間は、関連する論文を片端から斜め読みして、どれをどのように引用するかを考えた。ほぼ納得のいく改訂版ができた。
ここまでくれば、気持ちがすっきりするが、考えの整理がつくまでの間は、悶々とする時間が続く。「大体、論証ないし説得というのはむずかしいものなので」という野崎さんの名言(昨日のブログ参照)が思い出される。トンネルの出口が見えず、つい現状逃避をしたくなる。しかし、このトンネルを抜けるまで、原稿と格闘を続けなければならない。それができるかどうかで、論文を書けるかどうかが決まる。
Schwarze Katzは、飲みやすいワインである。たまねぎを炒めるときにも、少し入れた。しいたけをきざみこんで、最後の味付けはナンプラー。少し酸味があるので、ワインのつまみには、とてもよく合うと思う。
明日(今日)は、植物RDBの会議。八方手をつくしたにもかかわらず、現存する自生地の情報がまったく得られていない種が、まだ相当数ある。これらについて、植物分類学会の精鋭メンバーで対策会議を開く。
日本の植物RDBは、文句なく、世界で最高の水準にある。その植物RDBを見直す作業を、今年度中に終える予定である。世界最高水準を更新するには、現存する自生地の情報がない種は、できればゼロにしたい。
明日(今日)の会議でも、対策が見つからない種については、「公開捜査」に踏み切るべきだろう。
オオバシシラン・ジャコウシダは、屋久島で捜索を続けているが、見つからない。ヤクシマウスユキソウは、私が知っていた唯一の自生地から消失した。まだどこかに残っていると思うが、見つからない。
このような種が、160余りある。明日(今日)の会議で手がかりが得られるのは、6割くらいだろうか。日本のフロラの最深部を相手にしている。決着をつけるのは、なかなか容易ではない。
お、チューリヒから朗報が届いた。科学者らしからぬ発言だが、縁というものを感じる。世界は、スモールワールドなのですよ。
洗濯機も止まったことだし、Schwarze Katzを飲み干して、寝よう。